北東イングランド見聞録 A to Z L③;Liverpool

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フットボールの街】

・現在、英国のプレミアリーグで実力No.1と言えば、リバプールです。

でも私の赴任時代は、低迷期にあり、当時の監督の悩みを描いたドキュメンタリーが放映されている状況でした。

その当時でも人気は絶大で、英国人の「2番目に好きなチーム」No.1と言われていました(もちろん、1番のひいきは地元のチームです)。

このチームの旗には火の鳥の様なマスコットが描かれていますが、実際にリバプールに行くと、高いビルの屋上にこの鳥の巨大なモニュメントがあります。

また、2020年の1月からは日本代表の南野選手が入団し、日本でも増々注目されることでしょう。

ビートルズの街】

フットボールに負けずに有名なのは、此処がビートルズのメンバーの生まれ故郷ということです。

彼らの生家をはじめ、ジョンとポールが初めて出会った場所、通った学校、歌になった場所など多くの場所が観光名所となっています。当然、ビートルズ博物館もありますし、ジョンレノン空港や、彼らにちなんだホテルなど新しい施設も増えています。

英国旅行の機会があり、fab4に興味がある方は、ぜひ此処に宿泊し、ビートルズのタクシーツアーを利用されることをお勧めします。

・ちなみに、私がタクシーツアーを利用した時に印象に残ったのは、ヨーコさんの評判が悪くなかったことです。彼女はビートルズ解散時には、解散原因の様に言われていたので、リバプールの人たちも彼女を嫌っているのかと思っていましたが、そうではありませんでした。理由は、彼女はジョンの死後も結構リバプールに顔を出し、学校のサポートなどボランティアによってこの街をサポートしてきたからとの事でした。

出身校のアートスクールを救ったポールと言い、この街を大事にしていることが評価されている様です。

 

北東イングランド見聞録 A to Z K③;KFC

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【長期出張者に人気】

・KFC、言わずと知れた『ケンタッキーフライドチキン』です。

何故かは分かりませんが、本社からの長期出張者に「どこに食べに行きたい?」と尋ねると、結構な確率で「ケンタ!」と言います。

また、当時の米人社長もほぼ毎日、夕食はここで済ませていた様です。

英国にも他のフライドチキンのお店は有りますが、自分が知っている味となると、やはりケンタしか無いのでしょう。

また、日本の様にコンビニで美味しいチキンや軽食が入手できないのも、理由の一つでしょう。

【英語でオーダーできませんでした】

・私の場合は、セットではなくチキン単品が食べたいので、「**2ピース、プリーズ」と注文するのですが、2セット来てしまいます。

初めての時は、「私はこれではなく、チキンフライだけを2本注文した!」とクレームをつけ、変えてもらいました。暫くして再度同じ注文をしましたが、前回と同じ結果でしたので、仕方なく2セットも食べました。

ファストフード店の日英の違い】

・マックやケンタ等の全てのお店とは言いませんが、多くの店は日本人の感覚だと、「汚い」です。食べた後の紙やプラスティックを床に捨てる人もいる様でした。

・こうしたファストフード店で食べ終わった時は、日本人の場合はきちんと所定のゴミ箱とトレイ置場に片づけます。しかしながら、英国人の多くはテーブルの上に置いたままで帰ります。

【何で綺麗にしない?】

ファストフード店の件とは全く関係ないかもしれませんが、こんな経験をしました。

私が英国子会社に赴任早々、他社の米国子会社の好事例を現地管理職に説明しました。

その会社も毎年赤字を垂れ流していたのですが、本社の徹底的な指導等で黒字会社に生き返ったのです。対策の一つが、管理職による工場内の清掃でした。これは、日本の会社のV字回復の対策としても、紹介される方策です。

ところが、英国人は全員「No!」でした。

その理由を尋ねると、「私たちは、清掃をするためにここで働いている訳ではない。清掃は担当の業者に任せるべきだ!」との事でした。言われてみると、仰る通りなんですが、「米国でもそうやって会社を建て直したのだから、一度やってみれば?」とは着任早々でもあったので、言えませんでした。

ファストフード店の英国人の振舞も、これに共通するものがあるかもしれませんね。

 

北東イングランド見聞録 A to Z J③;Job-changing

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転職の写真には見えませんが―

【転職・復職】

・英国も転職は普通なのですが、出向先企業では『出戻り』社員が多くいました。

一旦その会社から他の会社に転職し、暫くして戻って来るのです。

最近では、日本の会社でも増えてきた様ですが、一昔前の日本の会社ではあり得ない行動でした。年金制度の違いや、「高齢者差別違憲判決」の影響もあるのでしょうが、採用に関しては『兎に角即戦力』が最優先していた結果なのでしょう。

【採用方法】

・日本で言うと「中途採用」になりますが、大きな相違点としては、タスクを厳密に規定していることです。

従って、入社後に追加の業務を課した場合は、『追加料金』を支払います。一見生産性の低下要因の様ですが、不必要な仕事をむやみに与えないという意味では、日本も取り入れるべき考え方だと感じました。

【試用期間】

・給料や休暇、業務内容などを確認した上で、入社となりますが、最初の3か月間は試用期間となります。

日本でも、派遣社員契約社員を雇用する際に、同じ様な条件を採用する事は有りますが、私の経験ですと試用期間後に「クビ」というのは極めてレアケースです。

 一方、英国の場合は、入社時点で自己過大PRが普通なので、3か月の間に段々とメッキが剥げてきます。そして、3か月目の最終週のある日から突然出社してこなくなる。というのは、複数回経験しました。これも、ある意味スマートなやり方だと感じました。

【退職時の引き継ぎはしません】

・これは、英国の全ての会社に共通するのかは分かりませんが、出向先の会社には『マニュアル』がありませんでした。

作製させようとしても、なかなか従いませんでしたが、その内納得しました。

何故ならば、彼らのスキルとキャリアの関係は、以下の様になっているからです。

『スキルゼロで就職』⇒『業務に習熟し、スキルアップ』⇒『スキルを公開せず、自分の市場価値向上に活用』⇒『賃上げ要求』⇒NGの場合⇒『スキルアップをアピールして、リクルート活動』⇒『再就職達成』

当たり前ですが、契約書で釘をさしてお金蹴れば、転職前にマニュアルを公開したり、後任者に引き継ぎをする義理は有りません。

日本の海外子会社は、以前の出向会社もそうでしたが、安くてキャリアが未熟な労働者を雇用し、彼らにスキルを付けた挙句、高値で転職されてしまう。その結果、会社自体のレベルは一向に向上しないというスパイラルが続いていました。

元の勤務先の会社の場合、私に限らず海外出向経験者が帰国後、海外子会社管理部署に赴任することが無く、こうした『気づき』が活かされていないことも、「負のスパイラル」の一因だと考えています

北東イングランド見聞録 A to Z I③;Internet

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Wifi環境】

・インターネットの環境で大きく異なるのは、当時からWifiでしょう。

私の住んでいたチェスターリーには2012年当時、光ファイバーが敷設されていなかったこともあり、プロバイダー契約をしていませんでした。

そのため、休日インターネットを使用する場合は、近所のマクドナルドに行ってました。ただし、当時から空港などの大規模な公共施設にはWifi環境が無料で提供されており、休日の職場との連絡等に活用していました。

【BT】

・やがて、必要に迫られたこともあり、英国の電話会社であるBTの契約を結びました。しかしながら、工事の約束等は平気ですっぽかすので、大家に相談しましたが、「BTは本当に横柄だ」と言われ、結局は大家さんが話をつけてくれました。

【日本の情報】

・インターネットの活用で最も重要なのは、日本の情報を入手することでした。

昔の出向者は、アンテナを立てて衛星放送?で日本の放送を見ていた様ですが、料金が高い事もあり、インターネットで情報を得ていました。

日ごろは日本の情報はほとんど報道されません。平時で日本のニュースを見たのは、中央道でトンネルの天井が崩れ落ちた時だけでした。

・また、東北大震災の時も、津波発生時のフィルムは流れましたが、その後の報道がなく、BBCのTVニュースチャンネルで同じフィルを延々と流すため、じっと見ていると気分が悪くなるほどでした。

東京オリンピックを控えて】

・今年の夏には大勢の外国人が日本を訪れますが、以前から言われている通り、公共施設での無料Wifi環境を至急整備しなければ、不評を買うことになるのは間違いありません。

 

北東イングランド見聞録 A to Z H③;Heros

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米兵ですがー

【年末の恒例行事】

・英国の有名なロック歌手のデビットボウイの代表曲に、『ヒーローズ』があります。

一寸、気怠い感じのリズムの曲ですが、彼がベルリンのスタジオで遠くにベルリンの壁を見ながら作ったラブソングです。 英国では12月になると、この曲がテレビから頻繁に流れ始め、特別番組が作成されます。 若い男女の写真が次々に映し出され、彼らの簡単な経歴がテロップで流されます。

 彼らは、戦死者なのです。

 英国は、米国に付き合う(?)形で赴任当時もアフガン戦争に参加しており、当然戦死者が出てしまいます。 年末に彼らの事を悼み、全国ネットでこうした番組が放映されます。

 また、12月のある週末に私の家の前の通りでパレードがありこれも、ヒーローを偲ぶ行事でした。ニューカスルの町中では、大勢の人を集め同様のセレモニーをやっていました。

【志願兵】

・英国には徴兵制度は無く、兵隊は全て志願兵です。

 彼らについて詳しく報道されることは無い様ですが、一部は、所謂「職業軍人」で、代々この職業を引き継いでいる家もある様です。

【刺青】

・日本人にとって非常に違和感があるのが、刺青です。

 街なかには、「刺青ショップ」が溢れていますし、アスリートやアーティストに限らず、一般の人も普通に刺青をしています。

 日本人としては、「何故、こんなに刺青が一般化しているのだろう」と不思議に思いますが、ある時、日本人の上司がこんな話をしてくれました。

 「刺青は、元々は戦争で死亡した兵士の識別のためにするモノだった」との事。身体の一部が残っていて、その刺青が判別できれば酷い遺体でも身元が判明するという事です。

 この話の信ぴょう性には怪しいものがありますが、現在でも英国と戦争の関わりが続いているという意味では、納得できる部分は有ります。

 

北東イングランド見聞録 A to Z F③;Fireworks

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エジンバラは大晦日に花火でお祝いする様です

【花火の季節】

・言うまでもなく、花火大会は日本の夏の風物詩で、大掛かりな大会がいくつも開催されます。

一方、英国の夏の風物詩と言えば、クラッシックコンサートや野外フェスティバル、サーカス(地元の河川敷に夏季限定で、かわいらしいサーカス小屋がかかっていました)といったところでしょうか。

英国でも花火屋さんらしきものは見かけますが、そもそも夏に花火を見たことは、殆どありませんでした。

それでは、何時花火をやるかというと、冬です。

【花火を楽しむ理由】

・何故めちゃくちゃ寒い冬に花火をやるのか、一度通訳さんに聞いたことがあります。その答えは、「だって、冬は夜が長いから花火を楽しむのは当たり前。夏は夜が短いので、花火が見えない。」確かに、夏は夜がどんどん短くなり、最高は11時ころまで明るいので、とても花火を楽しむ感じではありませんでした。

また、冬に花火で遊んでいるのは若い人達で、ロケット花火が多い様でした。日本の様に、1時間以上も外でゆっくりと花火を楽しむのには、特に年配者にとっては気温が低すぎるのでしょう。

北東イングランド見聞録 A to Z E③;Earthquake

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当時の新聞記事

【3.11が起きて】

・赴任から半年足らずで、東北大震災が起きました。

第一報は、『日本の東北で大きな地震が発生。何百人もの死者が出た。』というものでした。マグニチュードの大きさも紹介されていましたので、巨大地震の割には、死者が少ないのが不幸中の幸いかもしれないと思いました。

その後、BBCニュースチャンネル津波の映像が流れ、死者数の桁が違うという事が徐々にわかってきました。しかしながら、新しい映像や詳しいニュースはなかなか流されず、BBCニュースチャンネルはずっと津波の映像を流し続けていました。

そうこうしていると、今度は「原発が大変なことになっており、『メルトダウン』が起きた様だ」とのニュースが流れました。

私たちの世代は、米国の『スリーマイル原発事故』や、それを題材にした『チャイナシンドローム』を知っており、当時は「核燃料のメルトダウンが発生した場合は、どんどん地下を突き抜け、地球の反対側にまで到達する」と言われていました。

この時に、日本への渡航の取りやめや日本から帰国する人が続出した様ですが、無理もない気がしました。日本からの情報が非常に少なく、何が起きているのかが良く分からない状況でした。

地震が無い国】

・英国には地震がありません。地面は動かないという前提で成り立っています。

例えば、羊牧場を石の塀で囲ってありますが、これは単に石を積み上げているだけです。石の重さが塀の中心に向かう様にしており、それでバランスを取っているそうです。むろん、地震によって強く振動した場合は崩れてしまうでしょう。

また、ヨーク等の旧い街並みを見ると、大昔から使われている窓のガラスが、レンズ状にふくれていることがあります。火事や地震が無いので、ガラス窓がずーっと同じ場所に嵌められているのです。

私の出向先の英国人社員が日本に出張に行った際、震度3の地震を経験し、大騒ぎしたという話も伝承されていました。

地震をどう伝えるか】

・英国の様な国から見ると、『日本イコール地震が多くて怖い国』と考える人がいてもおかしくはありません。

ただ、3.11発生時の状況を考えると、何が起きてどう対処しているのかという事を伝えないと、不安は倍増すると感じます。

勿論、それによって風評被害を起こしてしまうリスクはありますが、「わからない」というのが、一番不安を煽った感じがしました。